TO YOU 足を向けたのはほんの気紛れ。 何かを期待していたわけじゃない。 けれど、そこへ行けばかなり高い確率で会えることは分かっていたから、 その全てを否定することも出来ないけど。 『HONKY TONK』――――――。 看板を見れば、 『居るかな?』 なんて考えが浮かんで、思わず苦笑してしまった。 少し躊躇って、それでも扉を開けようと手をかけた瞬間、自分めがけて 投げられた小さなものを、反射的に受け止める。 受け止めた手の中に小さな箱。 驚いて上げた視線の先、蛮が悪戯っぽく笑っていた。 「オメーにやる。これでこないだの借りはチャラだからな?」 「え?ちょ、ちょっと、蛮?」 それだけ言うと、呼び止めるのを無視して踵を返した蛮は、悠然と去っ ていた。 「なんなの……?」 思わずそれを見送ってしまって、溜め息と共に手の中の小さな箱を見る。 なんだろう?……まさか……? 今日と言うタイミングに、都合のいい期待が湧き上がるのを止めようが ない。 『……開けて、みようか……?』 好奇心に駆られてかかっているリボンに手をかけようとしたその時、メー ルの着信音が鳴り響いた。 慌てて携帯を取り出して確認すれば、そこに蛮からのメールだと告げる 文字。 画面に映し出されたメッセージ。 たった一言。 『HAPPY BIRTHDAY』 「――――……っ!」 携帯を持つ手が少しだけ震えて。 「………覚えててくれたんだ……。」 画面の文字がほんの少しだけ滲んで見えた。 今日、2月10日はあたしの16回目の誕生日。 あの頃、互いの誕生日が一度だけ話題に出たけれど、それで蛮が覚えて るなんて思わなかった。 14の誕生日は兄貴と二人で祝った。 15の誕生日は一人で、祝う気にもなれなかった。 そうして今年、16の誕生日―――――。 去年と変わらず一人だけど、でも、一人じゃない。 「お祝い」はしないけど、でも、祝ってくれる人が居る。 それが嬉しい。 「……かっこつけちゃって。しょーがないから、保存しといてあげるわよ。」 今度会ったらこれをネタにからかってみようか。 怒るかしら?それとも、照れるかしら? どちらにしても、「消せ!!」って言われるだろうことは容易に想像が つく。 その顔を想像したら、自然と笑みが浮かんだ。 THE END 卑弥呼ちゃん誕生日おめでとう!!v って、2日早いんですが(笑) 卑弥呼ちゃん好きですv女性キャラの中じゃダントツにvにーちゃん共々、 工藤兄妹にはしてやられてます(笑) しかし、蛮受けサイトで卑弥呼ちゃんのB.D.SSUPするのって、私く らいのもんだろうな。ま、いっか(笑)