KISS YOU2





		 半ば以上強引に連れ込んだホテルの一室。

		 じたばたと暴れるのを、押さえつけるようにベッドに横たわらせる。

		 のしかかってくる体を引き剥がそうとする腕を頭上で一纏めにし、と同時
		に、足を大きく割り開いた。

		 そうして、そのまま布越しに、美堂のそれに刺激を与えていく。

		 直接的な刺激に、美堂の体が跳ねた。

		 思わず上げてしまった声に羞恥してか、きつい瞳でこちらを睨みつけてき
		たが、それすらも綺麗だと思うのだから、全くしてやられている。

		 知らず洩れた苦笑に、更に美堂の瞳にきつさが増す。が、気にせず、その
		まま性急にことを進める。

		 初めのうちこそ、逃げようと身を捩ろうとするなど、俺からしてみれば無
		駄な努力としか思えない抵抗をしていた美堂も、徐々に、布越しの刺激では
		物足りなくなってきたのか、もどかしそうに身をくねらせ始めた。

		 美堂の反応に、思わず笑みが浮かぶ。

		 それでも口のほうは頑固なもので、素直に俺を欲しがらない。ただ、与え
		られる刺激に唇を噛み締めているだけだ。

		 この体の半分、いや、4分の1でもいい、口も素直になれば、もっと可愛
		げがあるのにと、思わず考えてしまう。

		 が、そんな素直じゃないところもひっくるめて惚れているのだから、仕方
		がない。とは言え、せめて、ベッドの中でくらいもう少し素直になってもら
		えるようにしなければ。まぁ、その努力はこれから時間をかけてすることに
		して、今は目の前のことに集中しよう。

		 気を取り直し、美堂の、口には出さないけれど、欲しがっている刺激を与
		えるため、ズボンを下着ごと引き抜き下半身を露にする。そうして腰を肩に
		担ぎ上げると、美堂のそれには触れず、秘部に舌を這わせた。

		 喘ぎと共に体が震える。

		 性急な行為に悪態をつきかけた口は、けれどそこを解すために蠢く舌に、
		声を失った。

		 唾液で潤いを与えながら、ゆっくりと指を挿入し、探り当てた前立腺を刺
		激する。その度に、美堂の口からは堪えきれない嬌声が零れ落ちた。

		 ある程度そこが解れたところで、指の代わりに自身を差し入れる。

		 ゆっくりと押し入っていく熱棒に、体を震わせ、歓喜の声を上げる美堂。

		 行為の途中から既に自由になっていた腕は、縋るように俺の背に回されて
		いる。それが、まるで「もっと。」とねだるかのように、力を増した。

		 全てを収めてしまってから、美堂の体を抱き寄せる。耳元に名を囁けば、
		ひくりと体が震えた。

		 呼びかけに呼応するかのように、ゆっくりと紫紺の瞳が露になる。

		 快楽に潤んだ瞳。

		 それに、思わず目を奪われる。

		 暫し見惚れ、動こうとしない俺に焦れたのか、ねだるような美堂の俺を呼
		ぶ声。

		 それに我に返り、一呼吸おくと、徐ろに腰を動かし始めた。

		 途端、零れ落ちる甘い吐息。

		 堪えることを忘れ甘く鳴く美堂に、俺の動きも徐々に早くなっていく。

		 濡れた音と、互いの荒い息遣い、そして、美堂の上げる嬌声。それが部屋
		を埋め尽くす。

		 程なく、二人ほぼ同時に達した。

		 力を失くし、ずり落ちた腕を掴んで、もう一度自分の背に回させる。そう
		して、美堂の体を起こすと、今度は対面座位の状態で行為を再開させた。

		 零れる嬌声の中に、拒絶の言葉が混じったが、無視をした。

		 耳元で美堂の名を何度も囁きながら、行為を続ける。それは結局、美堂が
		意識を手放すまで続けられた。

		 頬にかかる髪を、起こしてしまわないよう注意しながら払ってやる。美堂
		に触れるその手に、愛しさが募っていく。と同時に、無理を強いてしまった
		ことを、少なからず後悔してしまう。

		 けれど、それも美堂を思うが故のことで、まして、あんなことを聞いてし
		まった後では、尚更だ。

		 結局、俺もまだまだ青い、と言うことなのだろう。

		 思わず苦笑が洩れた。

		 意識を失った美堂の頬に、涙の跡がある。それを口付けで拭って。

		 それでも、これで、俺がどれだけ美堂を想っているか、少しでもこいつに
		伝わればいいのだが、とは、虫の良すぎる話だろうか。





		THE END






		以前、XEN次郎様に捧げたSSの、ラスト数行に当たる
		部分でございます。
		捧げたのは、かれこれ1年くらい前になりますでしょうか。
		今更、ですが、XEN次郎様、よろしければ、受け取って
		やってくださいませ。
		……とは、恥ずかしすぎて言いに行けません;
		もし、何かの弾みでご覧になりましたら、貰ってやってく
		ださいませ(^^;)←なんだそりゃ。
		コンセプトは、「セリフ無しで、Hが書けるか。」です。
		セリフのみでHが書けるか、てのも、このCPでやってみ
		ようかと思っていたり…。
		このSSのセリフのみVer.(笑)
		気が向いたら書こうかな(おい)