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STILL
露わになった肌に、少し熱を帯びた指と唇が、ゆっくりと触れていく。ひどくゆっくりとしたその動きは、
何かを確認しているかのようにも感じられた。
弱い箇所に時折触れる指に、唇に、体は勝手に反応を返す。疲労で、自分では腕の一本すら満足に動かせ
ないのに、触れられれば反応する。まるで条件反射のようだ。
「……ぁ……も、やめ……っ。」
半ば掠れた声で許しを請う。けれど応えはなく、代わりに、熱い塊を押し当てられた。
「や、だ……っタカミ…や―――………っ!」
拒否の言葉は、聞きいれられることはなかった。
緩慢な動きで、けれど確実に奥へと入り込む熱に、声にならない声が零れ落ちた。
「は…ぁ……。」
全てを受け入れさせられたところで、背後からきつく抱き締められた。
「ネギ君……。」
「―――……っん…っ。」
耳元に低く囁かれる己が名に、ひくりと体が震える。
耳元に感じる吐息も、触れている肌も、身を焦がす熱も、何もかもが熱くて、思考が溶かされる。
熱くて、苦しくて、けれどこの熱から逃れる術を知らず、ただ与えられる快楽を甘受するしかなくて、ど
うにかなってしまいそうだった。
「も…やめ……や、だぁ……。」
緩々と頭を振れば、溢れ出した涙がシーツに染みを作る。それでも、回された腕は外れる素振りもなく、
決して解放されることはなかった。
「ネギ君…。」
再度、名を呼ばれる。
自分を抱く腕に、更に力がこもった。
「……君が行方不明になったと聞いた時、僕がどんな気持ちだったか、ネギ君、君にわかるかい?」
そう低く問われ、閉じていた瞳をゆっくりと開く。涙で視界が歪む。タカミチに視線を向けようとしたが、
抱きしめる腕がそれを拒んだ。
「君がナギを追うことを止められないことは、よく分かっている。今の君にとって、それが全てと言って過
言ではなく、また、出発点であることも分かっている。だから、諦めろとは言わないし、僕が言う筋合いで
はないことも分かっている。けれどね、ネギ君。分かってはいても、だからといって、全てを甘受すること
など出来やしないんだよ。まして、今回のように大怪我を負い、剰え、行方不明になったとなれば尚更だ。
ドネットから聞かされた要領をえない話に、どれだけ君の身を案じたか。ようやく居場所を見つけたと思え
ば、拳闘士になどなっている始末。しかも、ナギの名で、だ。それがどれほど危険な行為か、君に分からな
いはずはない。そうだろう。事実、そのことにより、一歩間違えば死んでいたかもしれないほどの怪我を
負ったことも聞いている。それを聞いた時、僕がどんな思いに駆られたか、ネギ君、君にはきっと分からな
いだろうね。」
常よりも低い声。決して荒げられることのないそれが、かえって、どれほどの怒りを含んでいるかを容易
に理解できた。
「タカミ……っん…っ!」
言葉を紡ごうとした途端、突然解放される。ずるりと抜き取られる感触に、体が竦んだ。
身を焦がす熱から解放され、息をついたのも束の間、体を反転させられ強く抱き締められる。
「タカ……。」
「……無事で、良かった……。」
零れ落ちた言葉は、安堵と共に悲痛さを感じさせて、返す言葉を失う。
「…………ご、め……ん…っ。」
それでも、せめて謝らなければと開きかけた口を、口付けで塞がれる。そのまま貪られるように口づけら
れ、呼吸が乱される。
「ん…んん……っ…は…っタ、カミ…チ……。」
ようやく解放されたと思ったのも束の間だった。いつの間にか両足を肩に担ぎあげられていて、気づいた
時には、再び熱棒を押し込まれていた。
「あ、あぁ………っっ!」
身の内に押し込まれた熱に、掠れた声が上がる。
反射的に逃れようとしたが、身動ぎしかできない状況では、なんの抵抗にもならない。再び深く埋め込ま
れた熱に、涙が零れ落ちた。
「あ……は、ぁ……。」
瞳から零れ落ちる涙。それでも、タカミチの顔を見ようと視線を向けるが、涙で視界が歪んで、顔が、よ
く見えない。タカミチが今、どんな表情をしているのか、知ることができなかった。
「タカミ…チ……。」
力の入らない体を叱咤し、なんとか伸ばした腕。それを、タカミチが掴んで首に回させた。そうして、抱
き締められる。
「……っごめ…なさ……タカミチ……っ。」
タカミチに縋り、今一番伝えなければならない言葉を口にすれば、くしゃりと頭を撫でられた。
「謝らなくていい。」
「…でも……。」
「いいんだよ、もう。君が無事なら。それに……。」
「それに……?」
途切れた言葉の続きを問えば、苦笑が返ってくる。
「……いや。」
それきり言葉はなく、代わりに口付けられる。何度も触れては離れ、そうして少しずつ深くなる口付けに、
思考が溶けていく。
「…はぁ……ん、んん……っ!」
ゆっくりと、けれど確実に快楽を引き出すために動く指と唇、そして熱棒に、口から零れ落ちるのは嬌声
だけ。弱い箇所に触れられる度に、体はひくりと反応し、そうして、快楽に溶ける思考。結合部からする水
音が羞恥を呼び起こし、更に熱を加速させる。
徐々に激しくなる行為に、加速度的に増す快楽。
最早堪えることも叶わぬ嬌声が、限界が近いことを告げていた。
「タ、カミ…あ!や、あぁ……っ!」
一際大きな反応と、次いで吐き出される欲望。余韻に浸る間もなく注がれる欲望の熱さに、目が眩みそう
だ。
シーツの上、投げ出された腕をとり、タカミチが掌に口付ける。それをぼんやりと見ていたのも僅かのこ
と。再開された行為に、神経が悲鳴を上げる。
「も、いや、ぁ………っ。」
拒絶の声は聞き入れられることもなく、行為は止まる気配すらなかった。
「……っっも…やぁ……っ。」
いっそ気を失えたら良かったのにと、思わずにはいられない。
容赦なく与えられる快楽に、飽和状態の神経。口をついて出る嬌声は最早完全に掠れ、瞳から零れ落ちる
涙は止めどない。それでも、条件反射ででもあるかのように、体は与えられる刺激に反応を返す。自分の意
志などお構いなしに。
本当に、気を失えたなら、どんなにか良かっただろう。
そうすれば、この行為によって図らずも吐露された感情に気づくこともなかったのに。
気づかなければ良かったと、そう思うのは、気づいてしまったことへの後悔ゆえか、それとも別の感情ゆ
えか、快楽に麻痺した思考では分かるはずもなかった。
THE END
ええと、ネギ君は10歳なんですが;
って、書いといて言うことではないですね;すみません;
ネギ君たちが魔法の世界で散り散りになった時、ドネットさんがタカミチと龍宮を
呼びましたが(それきり、出てはきませんが;)、この状態でタカミチがネギ君と
会ったらどうするかなぁ、と思ったら、こんなものが;(おいおい)
ネギ君は、今の15歳(くらい?)の状態で想像していただけると嬉しいです(^^;)
でも犯罪に変わりはない・・・;;;
ええと、これを芝崎さんに捧げます、と言ったら、受け取ってくださいますか?;
もちろん、返品可です;
ラストが気に入らず、結局数行を変更。
UPした後に手直しをしたのは、今回が初めてです(誤字脱字を除く)(^^;)