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CONTRACT 「『完全なる世界』の残党相手じゃ仕方がねぇ。俺の力を貸してやろう。」 ゆっくりと立ち上がり、ネギを正面から見据える。 俺の言葉が意外だったのか、ネギは酷くびっくりした顔をした。 「え?ほ、本当ですか?ラカンさん。」 「ああ。だが、俺の貸しは高ぇぞ?」 「え?ふむ……っ!?」 にやりと笑ってそう言うと、俺はネギの顎を右手で掬い上げた。そうしてそのまま柔らかそうな唇に、 自分の唇を押し付けた。 ネギの瞳が驚きに大きく見開かれる。しかし、俺と視線が合うと、羞恥にか、それは固く閉じられた。 触れた途端、溢れだした光が俺たちを包み込んだ。 思っていた以上に柔らかな感触に、光のもたらす感覚と相俟って気持ちがいい。名残惜しくも唇を離 せば、驚きや羞恥に目を潤ませたネギと視線が絡まった。 突然の展開についていけないのだろう。潤んだ瞳で俺を見るネギがなんだか可愛くて、つい悪戯心が 頭を擡げた。 腰を引き寄せ、再び唇を重ねる。そして、薄らと開かれたその隙間から舌を差し入れた。途端びくん と跳ねる体を更に抱き込んで、縮こまっていた舌に自分の舌を絡ませた。 「ん、んん……っっっ。」 上がった声は抗議か、それとも別のものか。 ネギは俺の上着を握り締め、されるがままに体を震わせている。時折漏れる声が妙に甘く響いて、こ れ以上は流石にまずいかと口付けから解放してやった。 「は……。」 苦しげに息をつくと、ネギはそのままその場に座り込んでしまった。 「おいおい、大丈夫か?ぼーず。」 苦笑して手を差し伸べれば、潤んだ瞳が向けられた。突然の行為に困惑も露わに、けれどどこか魅惑 的な色は酷く扇情的だ。 そこまで考えて、ガキ相手に何をと浮かんだ思考に苦笑する。 「これで契約成立だな。ネギ。」 「ラカンさん……。」 立たせてやりながらそう言えば、ネギは戸惑ったように目を瞬かせた。 契約の証、仮契約カードを手に取ると、ネギに持たせる。 「これで俺はおまえのものだ。」 「え、あ、は、はい……。」 俺の含んだ物言いに、薄らと頬を染めるネギ。 その反応はなんだとからかってやろうかと思ったが、やめておくことにした。 「『千の顔を持つ英雄(ホ・ヘーロース・メタ・キーリオーン・プロソーポーン)』の特性は分かって るな?あれはどんな武器にも変幻自在に形を変えることが…。」 「え?あの、ラカンさん??」 「ん?なんだ?」 「あの、なぜラカンさんのアーティファクトの話になるんですか?」 「ぼーずが使いこなせなかったら困るからだろうが。俺の力を貸してやると言っただろう?だからこう して…。」 「え!?ちょ、ちょっと待ってください!力を貸すって、まさかアーティファクトのことなんですか!?」 「そうだ。」 「ええー!?」 驚きに、ネギの大きな瞳が更に大きくなる。 それだけのためにわざわざ仮契約なんざするわけないのに、俺の言葉を真に受けているのがおかしく て仕方がない。尤も、ネギのアーティファクトにより、俺のアーティファクト『千の顔を持つ英雄(ホ・ ヘーロース・メタ・キーリオーン・プロソーポーン)』を使えるのは事実だ。だから、それにより俺の 力を貸したと言っても、強ち嘘にはならないのだが。 「てのは冗談だ。」 笑ってそう言えば、拍子抜けした顔をする。それから頬を膨らませて、「からかわないでください!」 と文句を言ってきた。ネギの言い分も至極当然のことなので、笑い返すに止めた。 「安心しろ。ちゃんと、俺自身の力も貸してやる。」 俺の言葉に、ネギはほっとしたように息をついた。が、その顔がすぐに不安そうなものになる。 「あ、でも、500万なんて大金、出せませんけど…。」 以前、500万出すなら手伝ってやると言ったのを覚えていたのだろう。酷く不安そうな顔でそんな ことを言うから、ついからかいたくなってしまう。 「それはつけといてやる。」 「えええ!?」 案の定、言った途端、情けない顔になるのがおかしくて、思わず笑ってしまう。 「む、無理ですよ!そんな大金、あるわけ…。」 「なんなら、体で払ってもらってもいいんだぜ?」 「は?」 口の端を笑みの形に歪めてそう言えば、言葉の意味がわからなかったのか、ネギは首を傾げて目を瞬 かせた。 「と言っても、今じゃなくていい。そうだな、5年後にするか。その時500万用意するか、それがダ メなら体でってのはどうだ?」 俺のからかいの言葉に、しかしネギは真剣に考えている。ここでこの条件を呑まなければ、俺の手は 借りられないとでも思っているのかもしれない。 『冗談に決まってんだろ。』 そう言って安心させてやろうかと思ったが、ネギがどんな結論を出すのか興味が湧いた。 真剣に悩んでいるのを黙って見ていれば、逡巡した後、ようやく決心がついたのだろう、ネギは一人 こくりと頷くと、俺を真っ直ぐに見つめた。 「分かりました、ラカンさん。5年後、500万何とか用意できるよう努力します。それでダメだった ら、えっと、体でって、どういう意味かよく分からないんですが、それで払います。」 そう言い切ったネギに、思わず苦笑してしまう。 意味が分からなくて、けれどそれを了承するとは、浅はかにもほどがある。それとも、自分にのみ降 りかかる困難なら構わないということか。 『しょうがねぇガキだな。』 言葉はからかいからの冗談だったが、そういうことなら真にしてしまおう。 「商談成立だな。」 俺は口元だけの笑みを浮かべてそう告げた。それにネギが「はい。」と答える。 「実際の支払いは5年後だが、そうだな、ぼうずが忘れないよう手付をもらおうか。」 「手付?」 俺の言葉に、ネギが首を傾げる。それを引き寄せて唇を重ねた。 驚きに目を見開いたネギに目だけで笑えば、瞬時に頬が朱に染まる。ここへきて、ようやく『体で払 う』の意味に気づいたようだ。 思うまま貪ってから解放してやる。 「5年後が楽しみだな。」 困惑の色を隠せないネギに、そう言って口元を歪めてみせた。 「逃げるなよ?ネギ。」 視線を絡ませそう言えば、僅かの間を置いた後、小さく、けれど確かにネギは頷いた。 THE END 初のちゃんとした(?)ラカンネギです。 とはいえ、微妙な感じがしますが・・・(^^;) こういう話を書いているとつくづく思うのですが、「仮契約」の名の下、 簡単にキスができるってのは楽ですね(おいおい) ラカンネギ好きな方にとって、こういう話というのはどうなんでしょう。 反応が気になるところなので、よろしければご意見を頂ければと思います。![]()