ss23
瞬間感じた小さな痛みに、閉じていた瞼をゆっくりと開いた。
視線の先、そこに刻まれたのであろう痕をなぞり、どこか満足げな笑みを浮かべている
タカミチの姿があった。
「…あと…つけないでよ…タカミチ……。」
そう抗議すれば、薄く笑ったタカミチが、腰を抱え上げ、まるで僕に見せつけるように
太股の内側に唇を寄せた。触れた感触に、体が小さく反応する。
「や、だ……っ。」
「大丈夫だよ。服に隠れて見えない場所だからね。それとも。」
言いながら、足の付け根近くを強く吸われる。淡く刻まれた痕に、タカミチは指を滑ら
せた。
「ネギ君は、僕以外の誰かに、この肌を見せるつもりなのかい?」
「そんなこと、するわけな……ぁ…っ。」
タカミチの言葉を否定すれば、今度は脇腹に感じる小さな痛み。肌に浮かんだであろう
それに、タカミチはもう一度唇を寄せた。
「なら、問題ない。」
小さく漏れた言葉に、僕は諦めにも似た気持ちを抱きながら、ゆっくりと目を閉じた。
「明日、晴れたら海へ行こうか。」
夕飯の時、そう言ったのはタカミチだった。
「ネギ君。明日は久しぶりに二人揃っての休みだから、どこかへ出かけようか。そういえ
ば今年はまだ海へ行っていなかったね。よし、明日は晴れたら海へ行こう。」
そう言って、明日の予定を決めたのはタカミチのはずだったのに。
確かに、肌に残された痕は、服を着てしまえば分からない箇所にある。けれど、それが
水着となればそうはいかない。太股はともかく、胸と脇腹の痕は、水着になれば確実に見
える箇所だ。時季が時季だけに「虫に刺された。」で通してしまうこともできそうだが、
当人がなんの痕だか分かっている以上、正直、恥ずかしくて水着になどなれそうもない。
『明日の予定はキャンセルか。楽しみにしてたのにな……。』
落ちてきた唇を受けとめながら、僕は小さく溜息をついた。
THE END
アンケートにあった6CPで、「休日」という共通タイトルで
SSを書こうかと思いまして。その第一弾のタカネギです。
最初に浮かんだ話はコタネギだったんですが、タカネギから書
く辺りが私らしい?(笑)
話は既に考えてあるので、あとは文章に起こすだけ。できたも
のからUPしていきます。
しかし短い・・・。
そんな最中ですが、大した描写はしていないので、表にUPし
ました。