Ferris Wheel 「うわぁ!」 眼下に広がる光景に、ネギは感嘆の声を上げた。 窓の下には、ネオン煌めく夜景が広がっている。 「綺麗だねー。」 自然と漏れた声に、つられるように窓の外に視線を向けた。 眼下に広がる夜景は確かにキレイだった。けれど、ネギの抱いたような感動は 浮かばなかった。 赤、黄色、白、緑。色とりどりの光の欠片が、闇の中、怪しく浮かび上がる。 キレイで、でも、どこか冷たい。そう感じてしまう。 一度瞬きをすると、視線を空へと向けた。 しかし、あるはずのものをそこに見出すことができなかった。 地上の明かりに身を潜め、沈黙してしまった星々。闇の中、僅かに見えるそれ も、頼りない光を放つのみだ。 星が見たい、と思った。 昔見た一面の星空を、星の瞬きに声をなくしたあの星空を、ネギと二人で。 「…空に近いのに、ここじゃ見えんのやなぁ。」 「え?」 漏らした声に、ネギが顔を上げる。俺の視線を追うように、空を見つめた。 「そうだね。」 言わずとも、ネギには俺が見たかったものが何か分かったのだろう。空を見つ めたままそう呟いた。 声に、視線をネギに落とす。視線に気づいたネギが俺を振り返った。自然と視 線が絡む。 茶の瞳が淡い光を放っている。綺麗だと思った。 曳かれるまま、顔を寄せる。驚いたように開かれた瞳は、唇が軽く触れた瞬間、 更に大きく見開かれた。 「コ、コタロー君…っ!?」 「星、見に行かへんか?」 「……え?」 「おまえに見せたいんや。満天の星を。」 だから二人で、いつか星を見に行こう。 真っ直ぐに見つめてそう言えば、ネギはただ黙って俺を見つめた。 「いやか?」 問いかけに、ネギはふるふると首を振った。そうして、小さく笑みを浮かべる。 「いつか一緒に見に行こうね。」 そう言って差し出されたネギの小指に、俺は自分の小指を絡めた。 THE END みゆきさんと絵茶をしている際に浮かんだSS。(出来た絵は、 同盟の作品集にUPされています) とはいえ、その時考えていたものと、大分趣が変わってしまい ましたが。まぁ、よくあることだね。うん。 いつも以上に短いのは、一応出来た絵につけるつもりで書いた からです。しかし短い(苦笑) ネギま!でこういう話は、さすがにちょっと照れますね。 コタネギですが、この話はみゆきさんへ捧げます。![]()