「……ぁ……。」 背に軽く触れた唇の感触に、微かな声が漏れた。 シーツを握り締めている指先は、力を込めすぎたためか、僅かに血の気を失っている。それに 己の右手を重ね、項に軽く口付けた。 「……や、め……。」 微かに漏れる拒絶の言葉は羞恥によるものと解釈し、聞かなかったふりをする。 行為を止めぬ僕に、ネギ君は非難がましい視線を向けてきた。それを無視して首筋へのキスを 繰り返す。唇が触れる度に、ネギ君の体は小さく震えた。 「フェイト……っ。」 言外の懇願に気づいても、今更行為をやめる気はない。シャツをたくしあげ、そのなめらかな 肌に直接指を滑らせた。途端、先以上に顕著な反応をするのに、知らず薄い笑みが浮かんだ。 「フェイト、やめ……っ。」 再度漏れた拒絶の言葉はひどく擦れていて、辛うじて僕に聞こえる程度の小さなものだった。 僕は聞こえなかったふりをし、ただ黙ってネギ君の耳元にキスを落とした。 日中はネギ君の我儘を黙ってきいてあげたのだから、今度は僕の我儘をきいてもらう。僕には、 家人に遠慮して折角の二人の時間を無駄になどする気はない。そして、これ以上ネギ君の我儘を きく気も。 「声をきかれるのが嫌だというなら、いくらでも僕が塞いであげるよ、ネギ君。手でも、唇でも、 君の好きなように。いっそ、ハンカチか何かでその口を塞いでしまったほうが、気兼ねなく楽し めるかもしれないね。」 「な……っ!?」 薄く浮かんだ笑みと共に囁いた言葉に、ネギ君の顔が真っ赤になる。 「フェ……っっ!」 「あまり大きな声を出すと、それこそ家人に気づかれるよ?ネギ君。」 上がりかけた悲鳴にも似た声を、軽く手で封じてしまう。次いで囁いた言葉に、緊張にか、ネ ギ君が身を強張らせるのが分かった。 「人払いの魔法では、さすがにここ、関西呪術協会の長、近衛 詠春宅ではそれこそ何事かと訝 しがられると思うよ。違うかい?」 応えはなかった。というより、言葉に詰まったというのが正しいのかもしれない。 唇を噛み締めたネギ君の耳元に、わざと音を立てて口付けた。それに、びくりと体が震える。 「僕に行為を止める気はさらさらないよ、ネギ君。だから諦めるんだね。そして君も楽しめばい い、いつものように、ね。」 「……っ!」 揶揄を含んだ言葉に、ネギ君は怒気を孕んだ瞳で僕を見つめた。 暫しの沈黙の後、徐に口を開きかけたネギ君のその言葉を遮るように、僕はゆっくりと言葉を 紡いだ。 「ああ、安心していいよ、ネギ君。既に近衛 木乃香と桜咲 刹那には、明日の予定はキャンセ ルすると丁重に断っておいた。……これで何の気兼ねもなく楽しめるというものだ。そうだろう? ネギ君。」 僕の言葉に、ネギ君の目が大きく見開かれる。次いで、これみよがしの溜息をひとつつくと、 観念したのか、ネギ君はゆっくりと体の力を抜いた。 そのネギ君の様に、薄く口元に笑みが浮かぶ。 「だから言っただろう?『僕は京都になど行きたくない。』と。」 微かな笑みと共にそう告げれば、応えの代りに、ネギ君は自らシーツを噛み締めた。 THE END 「休日」フェイトネギver.です。 なんだかものすごくお待たせしてしまってすみません; ネタは出来ていたのにおかしいな・・・?;; とか言いながら、当初考えたものと内容が違っていたり するんですが、まぁ、それはいつものことということで (苦笑) 状況説明一切なしの不親切SSですみません;雰囲気だ け楽しんでいただければと(^^;)ダメですか?; とにもかくにも、これでコンプリートです。無事に終 わって良かった(^^;)![]()