パラレル設定なうえに、色々捏造していますので、ご注意ください。 FATUM DEA 「は…あ…っぁ……っ。」 緩い突き上げに、ネギ君は僕にしがみつき、甘い声を上げた。その声が聴きたくて、 抱き締めた体を揺すり、滑らかな肌に、手で、唇で触れる。その度に、望んでやまぬ声 が、その唇から零れ落ちる。それは、どこまでも僕の耳に甘く響いた。 過ぎた快楽故か、無意識にだろう、背に爪を立てるその痛みにさえ、甘い痺れを感じ る。それに顕著に反応する自身に、口元が僅かに歪んだ。 身の内深くで脈打つ僕に反応し、締めつけが更にきつくなった。同時に、しがみつく 腕の強さが増す。 「あ、ぁ…っフェ…ィト…っ。」 耳元、吐息交じりに漏れた己が名。それに魅かれるように、その柔らかな唇に己の唇 を重ねた。 何度も口付け、その柔らかさを存分に味わう。合間に漏れる吐息は甘く、まるで麻薬 のように僕を狂わせる。 「はぁ……。」 唇がゆっくりと離れた途端、どちらのともつかぬ吐息が零れた。 僕は、そっと、両手をネギ君の頬に添えた。そうして、動きを止め、その顔をじっと 見つめる。 ネギ・スプリングフィールド―――――。 僕の運命を変え、僕の存在を肯定し、そして、僕を僕たらしめる、唯一無二の存在。 そして、唯一、僕が欲してやまぬ人。 彼がいなかったならば、今の僕はない。 なぜなら、彼がいなければ、僕は目的を達していたから。 目的が達せられれば、道具である僕の存在意義はなくなる。必要のなくなった道具は、 処分されるのが常。僕という存在は、無と化していただろう。 故に、僕がこうして存在しているのは、ネギ君のせいだ。 君が、僕の運命を変えてしまった。 消滅するのが当然だった僕に手を差し伸べ、剰え、新しい世界を与えてくれた君。 人形であるはずの僕にも、喜怒哀楽があるのだと、君が教えてくれた。 それだけではない。 君への思慕、恋慕、愛慕、恋着、そして、それ故に知った、執着心、嫉妬心、独占欲、 情欲、劣情―――――。 他の誰にも持ちえない感情を、君だけが揺さぶるのだ。 君という存在があるが故に、僕は存在している。君なしでは、僕の存在は意味を成さ ない。 そう、君が、僕を変えてしまったのだ。 「フェイト……?」 ネギ君を見詰めたまま、それきり身動ぎ一つしない僕を不審に思ったのだろう。小首 を傾げたネギ君が、そっと、僕の頬に手を触れた。 「どうか…した?」 色づき濡れた唇から零れた、掠れた声。 数度の瞬きに零れ落ちた涙が、淡く染まった頬をゆっくりと滑り落ちていく。 瞬間、自身がどくりと脈打つ。その情動の赴くまま、僕はゆっくりとネギ君の体をベッ ドに横たわらせた。そうして、緩慢な動作で、自身をギリギリまで抜いた。 「ん……っっ。」 その刺激を堪えるように目を閉じたネギ君が、小さな声を漏らす。魅惑的な唇に触れ るだけの口付けを落として、乱れた髪をそっと撫ぜた。 「何も…。君に見惚れていただけだよ。」 「……っっ。」 薄く笑んでそう告げれば、照れたのか、途端真っ赤になるネギ君。その様に、思わず 笑みが深まった。 僕の笑みを、からかいと取ったのだろう。ネギ君の僕を見る目が鋭くなる。尤も、頬 を淡く染めたまま睨まれても、怖くもなんともない。寧ろ、劣情を揺さぶられるだけだ。 僕は小さく笑むと、腰を掴み、ギリギリまで抜いていた自身を再度ネギ君の中に突き 立てた。 「あぁ……っ!」 途端上がる嬌声。 一気に奥まで突き立てられた衝撃に背を弓反らせるネギ君を、僕は強く抱き締めた。 「は…ぁ……。」 零れ落ちる甘い吐息。微かに震える体。求めるように僕の首に回される両の腕。そし て、熱くて堪らない結合部。 ネギ君の何もかもが、僕の劣情を煽ってやまない。 欲情のまま深く口付けて、緩々と腰を動かし始める。徐々に激しさを増す腰の動きに、 堪え切れず零れ落ちた嬌声が、室内に甘く響いた。 「ん、ぁ…フェ……っや、ぁあ……っ!」 両足を肩に担ぎあげ、更に深く繋がる。限界まで楔を突き立てられ、ネギ君の背が弓 なりに反った。 唇に、頬に、首筋に、胸に、口付けながら、何度も何度も突き上げる。その度に、結 合部からは濡れた音がし、ネギ君の口からは嬌声が零れ落ちた。 「あ、ぁ…っも…、やぁ…っっ。」 過ぎた快楽にか、ネギ君がゆるゆると頭を振る。溢れた涙が、滑らかな頬を伝って落 ちる。それを、僕は口付けで拭った。 「ネギ君……。」 「んん…っ。」 耳元への呼びかけに、小さく震える体。それを更に抱き締めて、そっと、その耳元に 囁いた。 「EGO diligo vos.Tantum vos.」 「ん、あ……っ!」 応えはなかった。ただ、その瞬間、確かに締めつけがきつくなったように感じた。ま るで、僕の言葉に呼応したかのように。 尤も、聞こえていてもいなくても構わなかった。ネギ君に先の言葉が届いていようと いまいと、僕の気持ちに変わりはないのだから。 「は…っフェ……ト…っ。」 終焉をねだるような甘い声に、僕はそのおねだりに応えるべく、激しく腰を動かした。 と同時に、しとどに濡れたネギ君自身に指を絡める。そうして、そのまま擦り上げた。 「ひ、あぁ…っ!」 途端上がる嬌声。無意識にだろう、立てられた爪が皮膚に刺さり、甘美な痛みを齎し た。 収縮する内が、浅い呼吸が、絶頂の近いことを告げていた。 僕にしがみつき、背に爪を立てるネギ君を強く抱き締め、そっと、耳元に口を寄せた。 そうして、『告白』を繰り返す。 「Negius.EGO diligo vos.Tantum vos in infinitio.」 「フェ…ト……っ!」 途端、掠れた声が漏れた。同時に、僕の言葉に呼応したかのように、ネギ君は絶頂を 迎えていた。収縮する内に促され、僕もネギ君の中に思いを解き放った。 乱れた呼吸を繰り返すネギ君を、そっとベッドに横たわらせた。そうして、乱れた髪 をゆっくりと撫でる。その感触がくすぐったいのか、ネギ君は小さく笑って肩を窄めた。 「フェイト…。」 ゆっくりと目を開けたネギ君が、僕を見つめる。どこか真摯な瞳に、僕はただ黙って ネギ君を見つめていた。 ネギ君は緩慢な動作で右手を上げると、僕の頬にそっと触れた。そうして、照れたよ うにふんわりと笑う。 「Ut mihi.EGO diligo vos.」 紡がれた言葉に、一瞬言葉を失くす。 まさか、ネギ君からその言葉を告げられるとは、思っていなかったからだ。 半ば呆然と、言葉もなくただ見つめる僕に、ネギ君は僕の反応に満足でもしたのか、 悪戯っぽく笑った。 「フェイトのそんな顔、初めて見たよ。」 そう言ってくすくすと笑うネギ君に、僕は小さく溜息を吐いた。 「全く…。君には敵わないよ。ネギ君。」 微苦笑して、僕はネギ君の右手を取り、甲に口付けを一つ落とした。 「Meus fatum dea.」 そう厳かに告げた言葉に、ネギ君の眉間に皺が寄る。 「僕は『女神』じゃない!」 憤然と抗議するネギ君に、これでは火に油を注ぐだけだと分かっていながら、僕はこ みあげてくる笑いを止めようがなかった。 THE END 「Femme Fatale」という言葉を使いたくて書き始めたはずが、気が付いたら こんなことに(苦笑) いや、フェイトがフランス語を使うのは違和感があるなぁと思いまして。なら ばなんだと考えたところ、出てきたのがラテン語。 魔法使いなんだから、使いこなせなきゃ呪文は作れんだろう。うん。 と、いうわけで、ラテン語を使うことに。 そんなわけで、愛の告白(爆)は、ラテン語です。 英語でいいじゃんと思わないでもないのですが(いや日本語でいいだろ)、雰 囲気を出すため、ラテン語を使ってます。 意味は・・・調べてみてください。 とか言ったら、怒られるかしら?(^^;) 「EGO diligo vos.」は「愛している。」 「Tantum vos.」は「君だけを。」 「Tantum vos in infinitio.」は「君だけを永遠に。」 「Ut mihi.」は「僕も。」 「Meus fatum dea.」は「僕の運命の女神よ。」 以上が日本語訳です。 訳すと恥ずかしいのはなぜだろう・・・?(苦笑)