※ネギ君がウェスペルタティア王国の王子、タカミチがその専属従者という設定の
			 パラレルです。パラレルがダメな方は、閲覧を控えてください。
			 読後の苦情は一切受け付けませんので、悪しからずご了承ください。


























			「ねぇ、タカミチ。タカミチは誰に剣を捧げたの?」

			 王が女王に剣を捧げた経緯を語って聞かせたからだろうか。「そういえば。」と、ネギ
			王子が小首を傾げてそう問うてきた。

			「お父様?それともお母様?」

			 興味津々といった様子で僕を見るネギ王子に、思わず微苦笑する。

			「いえ、私はお二人に剣を捧げてはおりません。」

			「そうなの?」

			「はい。」

			 きっと、お二人のうちのどちらかに捧げていると思っていたのだろう。ネギ王子は僕の
			言葉に驚いたように、何度か目を瞬かせた。

			「お父様でもお母様でもないなら、誰に捧げたの?ガトウ先生?」

			「私と師匠はそういう関係ではありませんよ。」

			「じゃあ誰?」

			 何がそんなに気になるのか、僕の方に身を乗り出して問うてくるネギ王子。単なる好奇
			心なのだろうが、それでも、僕に関心を寄せてくれているという事実が嬉しい。

			「誰にも。王子、私はまだ、誰にも剣を捧げていないのです。」

			「そうなんだ。」

			 事実を告げれば、驚いたのか、ネギ王子は軽く目を見開いた。それに、小さく笑んでみ
			せる。

			「私の主は王でも女王でもありません。私が主として請うのは…。」

			 そこで言葉を区切り、ゆっくりとネギ王子の前に跪く。そうして、腰にさげた剣をゆっ
			くりと引き抜いた。

			「タカミチ?」

			「あなたです。ネギ王子。」

			 真っ直ぐにネギ王子を見つめ、そう断言すれば、ネギ王子の瞳が驚きに見開かれた。と
			同時に、その頬が淡く色づく。それに小さく笑いかけ、柄をネギ王子に、切っ先を自分に
			向けた。

			「わが剣の主となり、もしも君の望む時にはいつなりとわが命をお取りください。わが誓
			いに偽りありと思わば、今すぐこの剣を押し、わが命をとりたまえ。」

			 僕にとっての主はただ一人、ネギ王子、あなただけだ。あなたのためならば、この命を
			捧げることなど造作もない。だから王子、僕の剣を受け取ってはもらえないだろうか。

			 捧げた誓いには一片の偽りもなく、僕はネギ王子を真っ直ぐに見つめた。

			「タ、タカミチ……。」

			 突然捧げられた誓いに、戸惑いも露わに立ちつくすネギ王子。それでも僕は、真っ直ぐ
			にネギ王子を見つめたまま、じっと答えを待った。

			 沈黙が流れる。それは、時間にすればきっと、1分か2分のことだったのだろう。それ
			でも、答えを待つ僕には酷く長く感じられた。

			 一度目を伏せたネギ王子は、少しの間の後、ゆっくりと目を開けた。そうして、真っ直
			ぐに僕を見つめると、淡く微笑んでみせた。

			「その剣の誓い、受け入れます。」

			 厳かに告げられた言葉に、歓喜に体が震える。

			 ネギ王子は僕の剣をとると、その刃に唇をあて、柄のほうを向けて僕に返してきた。そ
			れを喜びと共に受け取り、鞘に納める。

			「……なんだか照れるね。」

			 そう言って頬を淡く染めたネギ王子が、ふんわりと笑う。愛しさに抱き寄せたくなるの
			を、僕はぐっと堪えた。

			 まだネギ王子が赤ん坊のころから今日までずっと、一番近くでその成長を見守ってきた。
			主従以上の思いを自覚した時から、その成長が嬉しくもあり、同時に苦しくもあった。い
			つかそう遠くない未来、こうして側にいることが出来なくなる日がくると分かっていたか
			ら。それでも、僕の主は未来永劫、ネギ王子、あなただけ。

			 衝動のままネギ王子の手をとると、その甲に恭しく口付けた。

			「この命はあなたのものです。ネギ王子。」






			THE END





		 	















			お題を見た瞬間、これしか考えられませんでした(笑)
			ネギ君が王子ということは、当然、王はナギ(爆)
			似合わない・・・(笑)

			剣の誓い参照は「グイン・サーガ」(栗本 薫著)。

			この話は、僭越ながら、みゆきさんへ。返品可です(^^;)