※ネギ君とフェイト、共に15歳のパラレル設定です。















				 コーヒーを片手に部屋に戻るとそこには、濡れた髪もそのままに、パソコンで何やら作業を
				しているネギ君の姿があった。

				 バスローブを纏ってはいるものの、体もおざなりにしか拭いていないようだ。合わせ目から
				見える肌は、しっとりと濡れているようで、濡れた髪からは、雫が垂れている。ネギ君にして
				は少々だらしのない格好に、僕は思わず溜息を吐いた。

				「ネギ君、そんな恰好で何をしているんだい?そんなことをしていたら、風邪をひくよ。」

				「ん…これが終わったら拭くよ…。」

				 急ぎの用なのか、ネギ君は手を止めることなく答えを返してきた。

				 それに、再度溜息を吐く。

				 手にしていたコーヒーをテーブルに置くと、仕方なくタオルを取り出し、ネギ君の髪を拭い
				てやる。

				「いいよ、フェイト。後でやるから。」

				「風邪をひいて困るのは君だけじゃないと、分かっているのかい?看病する僕の身にもなって
				くれ。」

				「ん…ごめん。でも、もう少しで終わるから、ちょっと待って……。」

				 余程急ぎの用なのだろう。結局ネギ君は僕の手を振り払うことなく、かといって、自分で髪
				を拭くこともせず、僕にされるがまま、作業を続けた。

				 そんなネギ君の様子に、思わず溜息を吐いてしまう。それにすら、ネギ君は反応しなかった。

				 真剣な眼差しでパソコンの画面を見つめているネギ君。その半分でいい、僕を見てくれたら
				と、思わず浮かんだ思考に苦笑する。

				 僕とネギ君の今までを考えれば、こうして側にいられるだけでも幸運だというのに、これ以
				上を切望する自分に自嘲の笑みが漏れる。

				 欲望は果てしなく、焦がれる思いは止めようがない。

				 僕だけを見て欲しい。

				 僕だけを感じて欲しい。

				 それがどれほど大それた望みであるか、分かってはいても、切望してしまう。

				 こうして二人で暮らしているから尚更、苦しくて仕方がない。

				 こんなに近くに居るのに、こうして触れることもできるのに、手に入れることが出来ない。

				 僕は、君が欲しくて仕方がないんだよ、ネギ君。

				 パソコンの画面を見つめたままのネギ君に、そっと心の中で語りかける。

				 君は僕の情動に気づかない、いや、気づこうともしない。それなのに、こんな風に僕を煽る
				ような真似をする。それがどれだけ僕を苦しめているか、ネギ君、君には分からないだろう。

				 バスローブの合わせ目から見える白い肌は、風呂上りともあって淡く色づき、匂い立つよう
				な色香を放っている。濡れたままの髪から落ちた雫が一筋、その滑らかな肌をゆっくりと伝う
				のがまた、酷く扇情的だ。

				 思わずごくりと喉を鳴らした僕に、しかし、ネギ君は気がつかなかった。

				「これでよし、と。ありがと、フェイト。あとは自分でやるよ。」

				 用がすんだのか、パソコンの電源を落としたネギ君が、小さく笑って僕を振り返った。

				 多分、限界だったのだろう。

				 まるで誘うように笑うネギ君に、気がつけば、僕は彼をベッドに引き倒していた。

				「フェイト…っ!?」

				 驚きに見開かれたネギ君の双眸。こんなことは予測していなかったと、雄弁に物語っている
				瞳に、表情を失くした僕の姿が映っている。

				「ちょ、フェイト?何?一体どうし…。」

				「ネギ君。」

				 目を瞬かせながら問うてくるネギ君の言葉を遮るように、名を呼ぶ。

				 僕の声に何かを感じたのだろうか、ネギ君は僕の言葉の続きを待つように押し黙った。

				 僕はネギ君を、ネギ君は僕を真っ直ぐに見詰めたまま、沈黙のうちに幾許かの時間が流れた。

				 最初に口を開いたのはネギ君だった。

				「フェイト?どうかしたの?」

				 澄んだ瞳が、僕を心配そうに見つめる。その瞳に、居たたまれない気持ちになる。

				「……ネギ君。」

				「何?フェイト。」

				 首を傾げたネギ君が、僕の言葉を待っている。

				 ネギ君、僕は君に触れたいんだ。君と一つになりたい。君の全てが欲しい。何度でも、何度
				でも、君の身の内の熱さを感じたい。そうして、僕を、僕だけを見て、感じて欲しい。君だけ
				でいい、君がいてくれれば、他には何も望まない。

				 僕は君を愛しているんだ、ネギ君。

				 言葉にならないそれらの思いは、ネギ君、君には想像もできないのだろうね。

				「フェイト?」

				 思わず漏れた自嘲の笑みに、ネギ君は更に首を傾げた。

				 もう、限界なんだ。ネギ君。どうか、この思いを受け止めてくれないか。

				 投げ出されたままのネギ君の右足をとり、そうして僕は、許しを請うようにその足に口付け
				た。

				「フェイト!?」

				 顔を真っ赤にしたネギ君が、驚きも露わに僕の名を叫んだ。それに、僕はゆっくりと顔を上
				げると、真っ直ぐにネギ君を見つめた。

				「ネギ君。君が欲しい。」











				THE END





		 	















				ぐるぐる回ってるフェイト。
				お題を見た瞬間浮かんだのがこれでした(笑)

				あ、フェイト跪いてないや。・・・ま、いっか。(おい)

				しかし、フェイト、その前に告白してはどうか。