ネギ君とコタ、共に15歳。
				二人で世界を旅しているというパラレル設定です。



















				「いいなぁ…。」

				 TVを見ていたネギの口から洩れた言葉に、コタローは首を傾げた。

				「いいって、何がや?」

				「これ。」

				 ネギが指し示したのは、TVの画面。そこには、飼い主と思われる人の手から餌を食べる
				犬の姿が映っていた。

				「僕もやってみたいなぁ、こういうの。」

				 ネギは酷く羨ましげに溜息を吐いた。そうして、コタローに視線を向ける。それに、コタ
				ローは眉間に皺を寄せた。

				「アホか。こんなん、何が楽しいねん。」

				「えー。だって、なんかいいじゃん。信頼しあってるっていうか、すごく仲がいいっていう
				か、そんな感じで。」

				「はあ?何言うとんのや。」

				「だって、普通なら人の手からなんて、食べないでしょ?だからさ、そうかなって。」

				 ネギの言葉に、コタローは腕を組みながら首を傾げた。

				「そうかぁ?よう分からんけど。ま、俺はせぇへんけどな。」

				「えー、ケチー。」

				 きっぱりと告げられたコタローの言葉に、ネギが口を尖らせる。その反応に、コタローの
				眉間の皺が更に深まった。

				「あのな。なんで俺がそないなこと、せなあかんねん。」

				「1回くらいいいじゃん。」

				「1回もクソもあるか!絶対せぇへんからな!」

				 はっきりきっぱり拒絶され、ネギの口元がへの字に歪む。そうして、ネギは何かを考える
				ように俯いた。

				「……どうしてもダメ?コタロー君。」

				 軽く俯いたまま、ネギは上目使いでコタローを見つめた。

				 少し首を傾げてのネギのおねだり顔に、コタローの心拍数が僅かに上がる。

				『卑怯やで!ネギ!』

				 コタローは、ネギのこの顔に弱い。しかも、ネギはそれを知っていてやっているのだから、
				コタローがそう思うのも無理はない。けれど、ここで折れては男が廃る。例えネギの手から
				とはいえ、人の手から食べ物を貰うなど、コタローのプライドが許せなかった。

				 コタローはネギから視線を外すと、暫し考え込んだ。暫くの後、コタローは徐に顔を上げ
				ると、ネギを真っ直ぐに見つめた。

				「分かった。そない言うんやったら、したるわ。尤も、食いもんはいらんけどな。」

				 言いながら、コタローはネギの右手をとって引き寄せた。

				「え?」

				「つまり、親愛の情を示せばええんやろ?」

				 意味が分からないと首を傾げたネギに向かって、コタローはにやりと人の悪い笑みを浮か
				べた。

				 瞬間、ネギの背に悪寒が走る。反射的に手を引こうとしたが、時すでに遅かった。

				「………っっ!?」

				 伸ばされた指先に触れる、柔らかな感触。それがコタローの唇だと、認識した途端、ネギ
				の頬は真っ赤に染まった。

				 右手の指、その1本1本に、キスが落とされる。それから、見せつけるようにゆっくりと
				舐め上げられ、ネギの体が小さく震える。

				「コ、コ、コタロー君…っ!?」

				「好きやで、ネギ。」

				「………っっっ!///」

				 掌に口付けながらの告白に、ネギの白い肌が綺麗な桜色に染まった。それに、コタローの
				口元に笑みが浮かぶ。

				 ネギの指の、その1本1本を確かめるように口に含み、ゆっくりと舐め上げる。それを、
				コタローはネギの目を真っ直ぐに見つめながら行った。

				 コタローの視線にいたたまれず、ネギは固く目を閉じた。と共に、唇も噛み締める。ねっ
				とりと絡みつく舌の感触に、ともすれば零れ落ちそうになる吐息を堪えるためだ。

				「……〜〜っっ。」

				 右手に施される愛撫に、時折小刻みに震える体。それに、コタローの口元に満足げな笑み
				が浮かんだ。

				 「チュッ。」という音を最後にようやく解放され、思わず、ネギの口から安堵の溜息が洩
				れた。

				「これで満足やろ?」

				 そう言ってにやりと笑うコタローに、ネギは鋭い視線を向けた。尤も、その目元は淡く染
				まっていたため、コタローにしてみれば煽られているようにしか感じられなかったのだが。

				「……………こんなことしてなんて言ってない。僕は、獣化したコタロー君に…。」

				「なんや、獣化したほうが良かったんか?だったら、今から獣化して、全身隈なく舐めたる
				わ。」

				「違う!」

				 そう言って酷く楽しげに笑ったコタローの鼻面に、ネギは強烈な平手を喰らわせた。















				THE END





		 	


















				ネギ君が望んでいたのは、子犬なコタに手から食べてもらうこと。
				この場合、決してでかい方ではない(笑)でかい方だと、逆にネギ君が
				食われそう(おい)				


				マギステル・マギになったネギ君が、従者としてコタを連れて世界を旅
				する妄想は楽しいです。うっとり。