この話は、別冊少年マガジンで連載されている『ネギほ(幼)文』の設定に、
				個人的趣味で手を加えたパラレル設定になっています。
				ネギ君が「まほら幼稚園」の先生で、コタ、フェイト、その他の女生徒(名
				前は出てきませんが)が園児という設定です。
				設定を読んだ時点で嫌悪感を感じる方は、そのまま回れ右してください。
				読後の苦情は一切受け付けません。
				悪しからずご了承ください。














































				「はーい、みんなー。お昼寝の時間ですよー。お部屋に戻ってくださーい。」

				「はーい!」

				 ネギの呼びかけに、園の庭で遊んでいた園児たちが元気良く駆けてくる。手洗い
				うがいをさせてから部屋に入らせ、そうして全員が部屋に入ったことを確認すると、
				ネギは部屋の扉をゆっくりと閉めた。

				「さー、みんな、静かにお昼寝しましょうね。」

				 園児の大半は、ネギに言われるまま自分の布団に入ったが、中にはまだ遊び足り
				ないとばかりに騒いでいる園児もいた。それに溜息を吐きつつ、ネギは騒いでいる
				園児の一人、コタローに近づいた。

				「こら、コタロー君。お昼寝の時間でしょ?騒いでないで寝ようね。」

				「えー、オレ眠たない。もっと遊びたいわ。」

				 そう言って膨れるコタローに、思わず苦笑してしまう。

				「でも、コタロー君が騒いでたら、みんなが眠れないよ?遊ぶのはまた後でしよ
				う?ね?」

				 言いながら、くしゃりと頭を撫でてやる。それに、コタローは口を尖らせた。

				「うー…。じゃあ、大人しくするさかい、ネギせんせぇ、おやすみのちゅうして?」

				「は…?」

				 「そしたら大人しく寝たる。」となぜか上から発言をするコタローに、ネギは思
				わず目が点になった。

				 コタローがなぜか自分に酷く懐いているのは分かっていたが、そんなものを強請
				られるとは。思わず呆然としてしまったネギに、コタローがネギのエプロンの裾を
				掴んで引っ張る。

				「なぁ、ええやろ?ネギせんせぇ。」

				「やめたらどうだい?犬上 小太郎。ネギ先生が困ってるじゃないか。」

				 ネギの背後からした溜息交じりの声に、コタローが声の主をぎろりと睨む。ネギ
				もつられて、後方に視線を向けた。

				「うっさいわ!フェイト!おまえには関係あらへんやろ!」

				「今はお昼寝の時間だろう?騒いでないで、とっとと寝たらどうだい?迷惑だよ。」

				「なんやとー!?」

				「こら!やめなさい!」

				 フェイトに掴みかかろうとしたコタローを、抱き締めるように押さえつける。

				「もう、二人ともケンカしない!コタロー君もフェイト君も、大人しく寝なさい。」

				「はい…。」

				「えー。」

				 叱られてしゅんとなってしまったフェイトと対照的に、コタローは口を尖らせた。
				それに思わず溜息を吐きつつ、ネギはぶうぶう文句を言っているコタローの頬を両
				手で包み込んだ。その途端、コタローが大人しくなる。

				「コタロー君?先生の言うことが聞けない?」

				「……だって……。」

				 何か言いたげに口を尖らせて、けれど黙ってしまったコタローに、ネギは再度溜
				息を吐いた。

				「しょうがないなぁ…。」

				 そう小さく呟くと、ネギはコタローの前髪をかきあげ、額にそっと口付けた。

				 額に触れた柔らかな感触に、コタローの目がまんまるに開かれる。

				「約束だよね?これで大人しくお昼寝するね?」

				 ネギの言葉に、コタローは数度瞬きすると、キスされたところに手を当てた。次
				いで、破顔する。それに、ネギの顔に照れによる朱が散った。

				「うん!えへへv」

				 酷く嬉しそうに笑うと、コタローは大人しく自分の布団に潜り込んだ。

				「あー、コタ君ええなぁ。うちもネギせんせにちゅうしてもらいたいー。」

				 やれやれとネギが安堵の溜息を吐いたのも束の間、一連のやり取りを見ていた園
				児の一人が、そう言って騒ぎだした。一人がそう口にすると、他の園児たちも「わ
				たしも。」「ぼくも。」と騒ぎだす。

				「もう、大人しく寝なさい!」

				「えー、コタ君だけずるいー!」

				「ずるい、ずるい!」と騒ぎ立てる園児たち。これではお昼寝どころではない。結
				局、折れたのはネギのほうだった。

				「分かりました!してあげるから、大人しく寝なさい!」

				「はーい!」

				 仕方なくそう言えば、元気な返事が返ってきた。思わず盛大な溜息を吐いたネギ
				の側に、『おやすみのちゅう』をしてもらおうと、園児たちが寄ってくる。

				「おやすみ。ちゃんと寝るんだよ?」

				 ネギはその一人一人にそう声をかけながら、額にキスをしていく。

				 本当はこんな風に甘やかしてはいけないのだろうが、してもらった園児は一様に
				嬉しそうに笑うから、ネギも思わず苦笑とはいえ笑みを浮かべてしまう。

				 ようやく最後の一人が終わり息を吐いたところで、ふと、先の列にフェイトの姿
				がなかったことに気付く。フェイトを捜して視線を巡らせれば、自分の布団の上で
				上体を起こしたまま呆然としている姿があった。

				「フェイト君?」

				 側に寄って声をかけると、フェイトはゆっくりとネギの顔を見た。

				「先生…。」

				 半ば呆然と呟いたフェイトの目が、僅かに潤んでいた。どうやら、ネギがコタ
				ローにキスしたのを見て、ショックを受けたようだ。

				 それで先まで固まっていたのかと思うと、いつも年不相応に大人びた目をした
				フェイトがなんだか可愛らしく思えて、思わず苦笑してしまう。

				 ネギはフェイトの頭を優しく撫でると、頬を両手で包んで、ゆっくりと顔を近づ
				けた。

				「フェイト君も、おやすみ。」

				 そうして額にそっと口付けを落とす。

				 それに目を瞬かせたフェイトに小さく笑いかけて、もう一度頭を撫でてやる。

				「さ、フェイト君も寝よう?」

				 そう声をかければ、フェイトはこくんと頷いた。

				 そのまま布団に入ると思われたフェイトが、ネギに手を伸ばしてくる。何だろう
				とその体を受け止めたネギの前髪を、フェイトがそっと払いのける。

				「ネギ先生も、おやすみなさい。」

				 その言葉と共に、ネギの額に落とされるキス。

				 まさかお返しをされるとは思っていなかったネギの目が、驚きに見開かれる。呆
				然と目を瞬かせるネギに、フェイトが小さく笑う。

				「おやすみなさい。」

				 思わず固まってしまったネギを他所に、フェイトはぺこりとお辞儀をして自分の
				布団に潜り込んだ。

				 暫くして聞こえてくる寝息。先までの騒ぎが嘘のような静けさに、ネギの顔に苦
				笑が浮かぶ。

				「やれやれ。」

				 静かになった部屋を見回し、ネギは一つ溜息を吐いた。

				「まったく、おませさんなんだから……。」

				 そう思わず漏らしたネギの口元には、小さな笑みが浮かんでいた。













				THE END





		 	















				マガジン22、23合併号に載っていた『ネギほ(幼)文』番外(読み切り?)に
				触発されてできた話(笑)
				ちなみに、別マガは読んでません。
				ネギ君が幼稚園の先生なら、コタとかフェイトは園児のほうが楽しいよな、で出来
				た話です(笑)思った以上に楽しかったのに驚いた(爆)