ss59
苦しげな息の下、何度も漏れる掠れた懇願の声を無視し、体を繋げ続けた。
執拗な責め苦に耐えきれず、ネギが意識を飛ばしたのに気づき、俺はようやく動きを止めた。
名残惜しかったが、気を失っているなら仕方がない。ゆっくり引き抜くと、ネギは微かに身
じろいだ。けれど反応はそこまでで、ネギが目覚める気配はなかった。
上気した頬に幾つもの涙の後。それを指で拭って、目元に口付けた。
一つ息を吐いて、ネギに体重をかけぬよう気をつけながら、心臓部にそっと耳を当てた。
聞こえてくる鼓動。
規則正しいそれに、思わず安堵の吐息が洩れた。
暫くそのまま鼓動に耳を傾けた後、徐に上体を起こした。そうして、今度はそこに手で触れ
る。
滑らかな白い肌に咲いた朱の刻印。
ネギの体に一つだけ刻んだそれに唇を寄せ、強く吸い痕を刻む。
心臓の真上に刻む証。それは、自分のものだとの自己主張。
何があろうと、誰が相手であろうと、絶対に渡さないという意思表示。
抱く度に刻みつけ、沁み込ませる。決して消えないように。
その意味を、けれどネギが知る必要はない。
もう一度そこに口付けると、俺は薄く笑った。
THE END
短い・・・。