ネギ君、フェイト共に15歳のパラレル設定です。












			「ネギ君。君にお願いがあるんだけれど、叶えてくれるかい?」

			 フェイトはネギをベッドに押し倒すと、そのままの体勢でそうのたまった。

			「お願い?…………って、何?」

			 ネギは突然の言葉に一瞬目を瞬かせたが、直ぐに怪訝な表情を浮かべた。

			 この時点でOKを出さないのは、過去の経験からだ。尤も、ここでOKしなくても、そうせざるを
			得ない状況に追い込まれたことがあるので、ネギにしてみれば、フェイトのお願いほど質の悪いもの
			はない。

			「簡単なことだよ。極、ね。」

			 言いながら、フェイトはネギの唇にゆっくりと指を這わせた。

			 それだけで、ネギはフェイトの言葉を聞かずとも、その望みを理解した。途端、頬が淡く染まる。

			「キスして欲しい。」

			 予想通りの言葉に、ネギの頬が更に赤くなった。

			 フェイトはネギの頬に手を滑らせると、ゆっくりと顔を近づけた。

			「ダメかい?ネギ君。」

			「〜〜〜…っっ。」

			 耳元に囁かれ、ネギの体が小さく震える。

			「う…え、えっと……ま、まあ、そのくらいなら……。」

			 状況が状況なだけに、もっととんでもないことを強請られるのではないかと警戒していたため、そ
			れに比べればまだ可愛いお願いだと思ってしまう。と同時に、過去の諸々を考え、これ以上要求がエ
			スカレートしないうちに頷いておいた方が身のためかもしれないと、ネギがそう考えたのも無理から
			ぬことだった。

			 真っ直ぐに見つめてくるフェイトから視線を逸らしながら、ネギは小さな声でそう答えた。それに、
			フェイトが淡く笑む。

			「嬉しいよ、ネギ君。」

			 そう言ってネギの頬にキスをすると、フェイトはゆっくりと上体を起こした。

			「それで、ネギ君。キスは顔以外のところにしてくれるかい?」

			「え?顔以外?って、じゃあどこに…?」

			「顔以外なら、どこでも。ネギ君の好きなところで構わないよ。」

			 言いながら、フェイトは着ていたシャツを脱ぎ棄てた。

			 眼前に晒された、無駄な肉一つない、均整のとれた体。照れる必要などないはずなのに、こういう
			状況だからか、気恥ずかしさを感じてしまう。

			 思わず頬を赤らめたネギに、フェイトの口元が笑みの形に歪んだ。

			「下も脱ごうか?」

			「い、いい!いらない!」

			 ズボンに手をかけたフェイトを、ネギは慌てて押し止めた。

			「そう。では、ネギ君。」

			「う……。」

			 フェイトの指が、ネギの唇をゆっくりとなぞる。無言の希求に、ネギは視線を彷徨わせた。

			 「いい。」と言った手前、今更「嫌だ。」とは言えず、しかも、「顔以外」と注文をつけられては、
			かえってどうしていいか分からなかった。それならいっそ、「口に。」と言われた方がまだマシだっ
			たかもしれない。

			『頬にしようと思ってたのに…。』

			 思わず考え込んでしまったネギを、けれどフェイトは急かすことなく、どこか楽しそうに見ていた。

			 ネギの視線が、何度もフェイトの裸身とシーツの間を行ったり来たりする。そのうちに、俯いたま
			ま動かなくなってしまった。

			 それでもフェイトは、ただ黙ってネギを見ていた。

			「…あーもう!フェイト!後ろ向いて!後ろ!」

			 数十秒後、ネギは勢いよく顔を上げてそう叫ぶと、フェイトの肩を掴んで無理矢理後ろを向かせた。
			そうしてその勢いのまま、背中に唇を寄せてすぐに離した。

			「こ、これでいいでしょ!?」

			 気恥ずかしいのだろう、怒ったようにそう叫んだネギを、フェイトは僅かに驚きの表情を滲ませて
			見つめた。

			 数度の瞬きの後、フェイトはゆっくりと顎に手を当てると、ぽつりと呟いた。

			「……なるほど。そうきたか。ふむ。確かに背中なら、自分には見えなくていいかもしれないね。」

			「?」

			 フェイトの言葉に、ネギは首を傾げた。

			 ネギにしてみれば、フェイトに見られているのが恥ずかしかったから背中にしただけで、それ以上
			の理由などなかった。しかし、フェイトの言葉には何か含みがあるような気がして仕方がない。
	
			 訳が分からず首を傾げるネギを、フェイトはベッドにうつ伏せに押し倒した。

			「な……っ!?」

			 抗う間もなく組み敷かれ、剰え、シャツを捲りあげられる。そうして、露わになった背中に指が這
			わされた。

			「ん……っっ!」

			 下から上へゆっくりとなぞられ、体が跳ねる。思わず上がりそうになった声を、ネギは唇を噛み締
			めることで辛うじて耐えた。

			 フェイトは、肩甲骨の辺りで指の動きを一度止めた。が、すぐにそこを、円を描くように撫でる。

			「ここなら確かに、ネギ君、君には見えないね。」

			「何…?あ…っっ!」

			 漏らされた言葉を訝しむ間もなく、そこに唇が寄せられる。痕を刻んでいるのだろう、強く吸われ、
			ネギの体が小さく震えた。

			 フェイトはゆっくりと上体を起こすと、そこに刻まれた痕を満足げに指で撫ぜた。

			「ここは、ネギ君が僕の体に初めて口付けてくれたところだからね。忘れないよう、痕を刻ませても
			らったよ。」

			『なんで僕の体にー!?』

			 酷く嬉しそうなフェイトのその言葉に、ネギは思わず心の中で叫んでいた。

			 言葉にしなかったのは、それなら刻んでくれと強請られるのが、容易に想像できたからだ。

			「これを見る度、僕の体に触れたネギ君の唇の感触を思い出すよ。」

			 酷く嬉しそうにそう言いながら、フェイトはネギの肩甲骨に刻まれた痕に口付けた。













			THE END































			フェイトは確信犯です(笑)