以前漫画にUPした西川 魯介先生の「なつめウ゛ルダラーク!」のWパロです。 そういうのが苦手な方は、回れ右してくださいね。 ネギ君、コタ、共に15歳設定です。 微かに鼻孔を擽る血の香りに、コタロー君が酷く興奮しているのが分かった。常より荒い 息遣いも、抱く腕の強さも、それを如実に示していて。 だからこれは、コタロー君の熱が伝染しているんだと思う。 だって、体内から血液が失われていくのに、それと反比例するように体が熱くなるなんて。 身に宿る熱に耐えきれず、思わず漏らす吐息に、コタロー君が口元を笑みの形に歪めたの が分かった。 時間にすれば、多分数分。それでも、僕にとっては酷く長く感じられる時間がようやく終 わり、思わず大きく息を吐いた。 未だ体内で燻ぶる熱があるけれど、それも時間と共に薄らいでいくのは分かっていたから、 ソファに凭れてやり過ごすことにした。 『少し休んだら、明日のテストの問題作んなきゃ…。』 ぼんやりした頭でやりかけの仕事のことを考えていたら、不意に視界に影が出来た。次い で感じる、体にかかる重み。徐に顔を上げれば、僅かに金の混じった瞳と目が合った。 『あ、マズイ。』 そう思った時には、喉元に口付けられていた。 「ん…っっ。」 思わず漏れた微かな声に気を良くしたのか、コタロー君は何度も喉元にキスをする。 ハーフとはいえ、狗族だからなのかな。それとも違う理由なのか、ともかく、コタロー君 はそういう時、最初に喉元にキスをすることが多い。ついでに言うと、血を吸った後には大 抵そんなことをしたがる。だから、これは当然と言えば当然予期できた展開なんだけど、血 を吸われた後ってちょっと頭に霞がかかるというか、ぼんやりしちゃうというか、そんな感 じで、どうしても反応が遅れる。けど、今日はそんな訳にはいかない。まだやることが残っ てるんだから。 「コタロー君。ダメだって言ったでしょ?」 言いながら、コタロー君の顔を手で押さえて行為を止めさせる。途端、コタロー君は酷く 不満げに睨んできた。 「なんでや。」 「まだやることがあるんだってば。だからダメ。」 「ここでお預けはキツイわ。なぁ、ええやろ?」 耳元に顔を近づけようとするのを、身を捩ってかわす。 「ダーメ。吸血行為だけって、最初に約束したよね?コタロー君と違って、僕は先生の仕事 が忙しいんだから邪魔しないでくれる?」 言いながら立ち上がり、自分の机に向かう。 まだちょっと頭がぼうっとしてる感じがするけど、そんなこと言ってられない。これが終 わらないと、明日の授業に差し障りがあるんだから。 自分を叱咤するように、僕は自分の頬を軽く叩いた。 「なぁ、ネギ。ほんまにダメか?1回だけでええねん。な?させてーな。」 「ダメって言ってるでしょ?それにコタロー君、そんなこと言って1回で終わった試しない じゃん。」 「うぐ。それはそやけど…。」 「そんなん、ネギが煽るんが悪いんやないか。」(誰が煽ったって!?そんな覚えないん だけど!)とかなんとか、自分のことは棚上げで、背後でぶつぶつと不満を綴るコタロー君 に、思わず溜息が漏れる。こんな調子でいられたら、気になって仕事の能率も上がらないし、 正直鬱陶しい。 つくづく甘いなと溜息を吐きながらも、僕はコタロー君を大人しくさせるべく、ゆっくり と振り返った。 「明日の準備だけどさ。1時間くらいで終わるんだけど、待てない?」 言った途端、コタロー君の耳がぴくりと反応した。 コタロー君は僕の言葉を、僕の意図した通りに取ったようだ。尻尾が嬉しげにゆらゆら揺 れてる。ホント、分かりやすいなぁ。 コタロー君の反応に、思わず笑ってしまう。 「1時間やな?」 「コタロー君がこれ以上邪魔しなければ、ね。」 「分かった。おとなしゅうしとるわ。」 「うん。よろしく。」 にっこり笑って言えば、「任しとけ!」なんて答えが返ってくる。それに笑って、再度机 に向かう。 さて、さっさと終わらせなきゃね。 大人しくはなったけど、代わりに、背中に期待に満ちた視線が注がれる。正直ちょっと鬱 陶しいんだけど、早く終わらせればいいだけだと自分に言い聞かせて仕事に集中する。 だって、きっと1時間なんて待てない。コタロー君はもちろんだろうけど、かくいう僕 も…ね。 なんて、コタロー君には絶対に教えないけど。付け上がるから。 THE END お題を見た瞬間、「あ、Wパロでいけんじゃん。」と思ったんですが、 なぜか形にするのは遅かったという(笑)なんでだろ? 書いてた話は途中で頓挫したため、ネギ君視点で書き直した結果がこ れ。 当初の予定より、あっさりした話になりました。 「なつめウ゛ルダラーク!」の説明は、漫画のほうにありますので、 そちらを参照してください。(不親切ですみません;)見なくても、 読めるとは思いますが。![]()