ネギ君を横抱きにしたまま、寝室へと移動する。

					 中央にあるベッドの、その枕元には12本のバラ。

					 質素ともいえる部屋にそれは、酷く間違いな感じを与えている。それはネギ君も感じたのか、
					視線をバラに向けたまま、目を瞬かせた。

					「『DOZEN ROSE』だよ。」

					 ネギ君の体を、壊れ物を扱うようにゆっくりとベッドに横たえながら、簡単に説明する。それ
					に、意味が分からなかったのか、ネギ君は首を傾げた。

					「『DOZEN ROSE』?」

					「そう、言い伝えでは、1ダースのバラを贈ると幸せになれるんだそうだ。それで、ネギ君に贈
					ろうと思ってね。」

					「そうなんだ。ありがとう、タカミチ。」

					 ふんわりと笑うネギ君に小さく笑いかけて、その唇にそっと唇を重ねる。そうして、一頻り、
					触れるだけの口付けを繰り返した。

					「ネギ君、12本のバラには、それぞれ意味があるんだよ。」

					「へぇ。どんな?」

					 柔らかな髪を弄びながら告げれば、ネギ君は軽く首を傾げて問うてきた。

					「『尊敬』。」

					 言葉と共に、ネギ君の手の甲に口付ける。途端、ネギ君の頬が淡く染まった。

					「『信頼』、『幸福』、『情熱』。」

					 意味を告げながら、頬に、額に、瞼に、口付けていく。

					「『感謝』、『誠実』、『永遠』。」

					 髪に、首筋に、胸元に。

					 ネギ君に捧げたバラの数だけの誓いと、思いを込めて。

					「そして、『愛情』。」

					 唇に触れるだけのキスを落とし、次いで深く口付ける。思いの深さを知らしめるかのように、
					深く深く。

					「……ん……は、ぁ……。」

					 口付けを解けば、甘い吐息が零れ落ちた。

					「12本贈ることで、全てを誓うことを意味するんだよ。」

					「タカミチ……。」

					 目元を淡く染めたネギ君が、僕を見つめる。それに小さく笑いかけ、目元に口付けた。

					「12の誓いだけじゃない、君が望むなら、僕の命を捧げても構わない。だから、ネギ君。」

					『君が欲しい。』

					 耳元に囁けば、ネギ君は驚いたように目を見開いた。けれどそれは一瞬のことで、すぐにはに
					かんだ笑みを浮かべた。

					 伸ばされた手が僕の首に回され、そうして、ネギ君は僕に抱きついてきた。

					「うん。タカミチになら、いいよ。」

					「……ありがとう。」

					 照れているのだろう、小さな声で告げられた答えに、僕はネギ君を強く抱き締めた。











					 THE END
		



		 	
















					 WEB拍手のお礼として使用していたもの。
					 書いている時は、あまりネギ君の年齢を考えずにいました(^^;)
					 お礼としてUPしている時は15歳としていましたが、「STAND
					 BY ME」等と同一パラレルとして読んでくださるとしっくりくる
					 かと。