「ちょっフェイト!?何す…っ!?」 壁にその体を押し付けて、口付けようと顎に手をかければ、驚いたように声をあげるネギ君。何を そんなに驚くことがあるのか、正直、僕にはさっぱり分からなかった。 「何をするとは心外だ。僕は君に誘われたから、それに応えようとしているだけだよ。」 「さそ…っ!!??誰が!?いつ!?」 僕の言葉が信じられないとでもいうのだろうか。驚きの表情はさらに酷くなり、まるで叫ぶように 問うてくるのに冷静に言葉を返す。 「君が。さっき。」 「そんなことしてない!」 即座に否定される。 それに、僕も即座にその答えを否定する。 「した。」 「してない!」 「したよ。」 「してないってば!」 お互い自分の主張を曲げることをしない。これでは堂々巡りだ。 「…自覚がないというのも、困ったものだよね…。」 「何か言った?」 思わず漏れた言葉は、けれどネギ君には届かなかったようだ。首を傾げて不思議そうな顔をしてい る。それに一つだけ溜息をついて。 「僕の成長した姿を見たい、そう言ったのはネギ君、君だろう?」 「え?あ、うん。」 僕の問いかけに、ネギ君は一瞬意味が掴めなかったのか、きょとんとして、けれどすぐに頷いた。 「その結果が今の僕の姿だ。この姿を見て、「うん。やっぱフェイトはかっこいいね。」と言ったの も君だ。」 「うん。」 「その時自分がどんな顔をしていたか、分かっているかい?」 「うん?」 「僕を見て、ネギ君、君は笑っただろう?」 「うん。笑ったと思うけど。それが?……あ。そんな気なかったけど、もしかして、愛想笑いにでも 見えた?」 的外れな答えを返すネギ君に、思わず溜息が漏れる。 「もし仮に、その時のネギ君の笑みが愛想笑いに見えていたのだとしたら、僕はこういう行動に出て はいなかったと思うよ。」 「それもそうか。ってことは、そうじゃないってことだよね。」 「全開の笑顔だった。」 「…え?」 「これでもかってくらいに嬉しそうな、眩しいくらいの笑顔だったと言ったんだよ。」 「あ、そうだったんだ?」 僕の言葉に、ちょっと照れたように笑うネギ君。 「だから、僕は君の誘いに応えようと思ったんだ。」 「……………………………は?」 ネギ君の目が点になる。僕の言葉の意味が分からない、その顔は、そう雄弁に語っている。 「そんな風に誘われて、応えないなんてそんなこと、僕に出来るわけがないだろう?これで理解した かい?」 「ちょ、ちょっと待って!それで、なんで僕がフェイトを誘ったことになるのか、全然、全く、こ れっぽっちも理解できないんだけど!?」 頭上を「?」マークでいっぱいにしているネギ君に、溜息が漏れる。 無自覚にも程がある。 あんな風に笑われたら、誰だって誘われていると思うだろうに、当人には、これっぽっちもその自 覚がないと言うのだから始末におえない。 「君に理解してもらおうと思った僕が間違っていたよ。」 溜息混じりに漏らした言葉に、ネギ君が眉を顰める。 「それってどういう意味?」 「説明しても君には理解できないと思うし、するつもりもないよ。そもそも、君の一挙手一投足が僕 にどれだけ影響を与えているかなど、君が知る必要はない。ただあるのは、僕が君に欲情したという こと。それでいい。」 「フェ、フェイト…っっ///」 僕の言葉に、ネギ君の頬は薄っすらと染まった。 そんな反応すら僕を煽る媚薬にしかならないのだけれど、きっとネギ君には理解できないだろう。 「マスターである君には、僕のこの熱を収める義務がある。そうは思わないかい?ネギ君。」 薄っすらと笑みを浮かべれば、途端真っ赤になるネギ君。 「ぎ、義務って、フェイトっっ!?」 「ああ、煩い口だ。」 「フェ…っ!?んん…っっ!!??///」 まだ何か言いたそうなその口を、口付けで塞いでしまう。 そうして、驚きに目を瞬かせ、頬を真っ赤にして口をぱくぱくさせているネギ君の耳元に、僕はそっ と囁きかけた。 『無意識だろうとそうでなかろうと、ともかく、君は僕を煽るのがとても上手い。そうでなければ、こ の僕がこんなに簡単にこんな気持ちになるわけがないのだから。そうは思わないかい?ネギ君?』 THE END パラレル設定のフェイトネギ第2弾です(笑) 今回は15歳ver.。 でもなんでフェイトは年齢詐称薬飲んでるの?って疑問は置いといてください。 (置いとくのかよ)あと、なんでマスター?って疑問も(笑) 説明するとネタばれになるかも、なことが絡むので、あえて何も説明を入れな いことにしました。不親切ですみません。が、そんな設定なくても問題なく読 めるものと思いますので、ご容赦を。 とはいえ、大したネタじゃないんですけどね(^^;) しかし、フェイトの顔がいま一つなのが悔やまれる・・・。![]()