MORNING KISS 「邪馬人!起きろって!いつまで寝てんだよ!?」 カーテンを開ける音と共に蛮の怒声が耳をつく。ついでに眩しいばかりの光 が、覚めたばかりの目に痛い。 「あ〜〜………?」 「ほら、いつまで寝てんだよ?いい加減起きろって。年寄りは朝が早いんじゃ ねぇのか?」 ぽふぽふと俺の頭を叩いて、蛮が悪戯っぽく笑う。 あのな、蛮。20も30も違うわけでもないのに、人を年寄り呼ばわりすん なよ。しゃーねぇだろ?昨日は遅かったんだからよ。しかし同じくらいに寝たっ てのに、いいねぇ、お子様は元気で。……てか、なんでそんなに元気だよ?お まえ……。 「悪かったな、年寄りで。あ〜あ、お子様はいいよなぁ。元気で。」 思わず洩らしたグチに、途端蛮が眉を顰めた。 「子ども扱いすんな!」 言ったかと思うと、今度は本気で殴ってきやがった。 こらこら、年寄りは労われって。……って、自分で言ってりゃ世話ねぇな (苦笑) 「あ〜はいはい。悪かった。おまえは子供じゃないよ。なんたって子供相手じゃ あんなこと、できねぇもんなぁ?」 「………っっ!」 上体を起こして意味深に笑えば、途端蛮の奴、真っ赤になっちまった。 可愛い奴。そんなに可愛い反応されっと、こっちとしても困るんだが。なん たって起き抜け。生理現象とは言え、ムスコは元気なもんで(笑)ま、若い証 拠だよな。……って違うか。蛮の年寄り発言に固執し過ぎだって、俺(苦笑) 「何赤くなってんだよ?蛮♪」 照れてるのをからかうように突付けば、蛮は頬を赤くしたまま俺の手を払っ た。 「もう!とっとと起きて顔洗って来い!スケベ親父!」 そう叫んだかと思うと、手近にあった枕を俺に投げつけてくる。 おいおい、それはあんまりに酷くないか?言うに事欠いて「スケベ親父」か よ?そりゃマジで落ち込むぞ。 「蛮〜。そりゃねぇだろ?まだ20代なんだぜ?俺は。」 「事実じゃねぇか。SEXで体力使い果たして、そんで寝坊してりゃ世話ねぇっ ての!」 拗ねてそっぽを向いてしまった蛮に、それでもそれが可愛くて、苦笑を禁じ えない。 「悪うございましたね。……しっかし、おまえなんでそんなに元気よ?」 「……そ、そりゃ……。」 なぜかそこで口篭る。しかも、頬を真っ赤にして俯いて。 可愛すぎる反応は、だからヤバイって蛮。 「その…邪馬人が加減……してくれてっから……。」 最後のほうはもう小さくて、辛うじて聞こえた程度。 蛮!おまえ、そんなに俺のこと煽りたいのか!?……いや、自覚なしなんだ よなぁ、俺の蛮は。悲しいことに(溜め息) 「……なぁ、卑弥呼は?台所か?」 「え?あ、ううん、買い物行った。」 不意に投げかけられた問いに、顔を上げた蛮がそう答えを返す。まだその頬 は、綺麗な桜色に薄く染まったままだ。 「買い物?こんな時間にか?」 「ミソ切らしてたって。昨日買い物行った時忘れてたみてぇ。で、近くのコン ビニにさっき出かけたとこ。」 「ふーん……。」 卑弥呼は留守ねぇ。マズイ……いや、好都合?(苦笑)さっき出たんなら、 あと15分は戻ってこないよなぁ。う〜ん。 突然腕を組んで考え出した俺に、蛮が首を傾げる。それがまた、年相応に見 える仕草で……。 だから蛮。頼むから煽ってくれるな! 人知れず欲望と戦っている俺(苦笑)を無視して、蛮は俺にそっと手を伸ば した。少しばかり不安げな顔をして。 「邪馬人?どしたんだよ?あ、枕、当たり所が悪かったとか?」 だーもう、限界!すまん蛮!(って、こればっかりじゃんか、俺!(泣)) 「え?わっ!?」 蛮の腕を引き寄せて、自分の胸にその細い体を収めてしまう。一瞬状況を掴 めなかった蛮は、暫くの間きょとんとした顔で俺の胸に抱かれていた。が、我 に返ると慌てて腕から逃れようとする。 「や、邪馬人!?何!?ちょ、卑弥呼が……っ!」 「今は出かけてるんだろ?」 「ったって、すぐ帰って……バ!?どこ触ってんだよ!?」 シャツの裾から忍び込んだ手に気付いた蛮が、更に抵抗を激しくする。 「……嫌か?」 「そ…いう問題じゃない!最中に卑弥呼が帰ってきたらどうすんだよっ!?」 頬を真っ赤にして、蛮が俺を睨みつけてくる。それに悪戯っぽく笑いかけた。 「帰ってくるまでに終らせるさ。」 「〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ★」 俺の言葉に目を見開いた蛮の頬に軽く口付けて、その柔らかな髪をくしゃり と撫でる。 そしてもう一度、 「ダメか?」 そう問いかけた。 頬を膨らませた蛮が、暫くの間無言で俺を睨んでいた。俺もそれを黙って見 つめ返す。 「……一回だけだからな……?」 暫くの後、頬を膨らませたまま、蛮は小さく呟いた。 耳まで赤く染めた蛮が可愛らしくて、思わず笑みが洩れる。 「了解。」 そう即答して、頬に口付けを落とす。次いで唇に触れるだけの口付けを。 口付けに、閉じた睫を震わせる蛮の頭を優しく撫でて。そうして今度は深く 口付けた。 「ん……。」 微かに洩れる甘い吐息。 深く口付けを交わしながら、俺は開かれていたカーテンをゆっくりと閉じた。 「蛮〜。兄貴起きたー?」 「開けるわよ?」の言葉と共に、ゆっくりと扉が開いた。そうしてその隙間 から、卑弥呼がひょっこり顔を出す。 「あ、兄貴おそよう。いくら今日は仕事ないからって、何時までも寝てないで よね?」 「おそよう。」って卑弥呼。そりゃ嫌味か?……いや、嫌味なんだろうな、ど うせ。 「ああ、悪い。」 苦笑して、それでもとりあえず謝っとく。下手に怒らすと飯抜きとか平気で 食らわされるので。実は、この家で一番強いのは卑弥呼だったりする(苦笑) 「分かればよろしい。……って、それでなんで起こしに来てた筈の蛮が寝てる の?」 ベッドで眠っている(正確には気絶(苦笑))蛮を見咎めて、卑弥呼が首を 傾げた。 「え?いや、まぁ、それは……。」 ……言える訳ねぇよなぁ、SEXして蛮の気を失わせた、なんて(苦笑) 本当のことなど言えるわけもなく、さりとて上手い言い訳も浮かばずしどろ もどろになった俺に、卑弥呼が鋭い視線を向けてきた。 「……兄貴?蛮にまたなんかしたの?」 そう言って俺を睨む卑弥呼の目は、完全に据わっている。 怖い!怖いぞ卑弥呼!おにーちゃんはおまえをそんな風に育てた覚えはない! (泣) なんて、心の中で嘆いてみても、現状が変わるわけもなく。 「悪い。おまえの言うとおり、原因は俺です。………だからさ、も少しこのま ま、寝かしといてやってくんねぇ?」 「こ…の……バカ兄貴!」 媚びるように両手を合わせて苦笑した俺を、怒声と共に卑弥呼の拳骨が襲っ た。 教訓。やっぱ卑弥呼は怒らすと怖い。……いてて(泣) THE END やってしまいましたのパレル邪蛮第2弾です(苦笑) いやもう、邪馬人にーちゃん大暴走!もしかしなくても私が乗り移ってる のか!?にーちゃん!(爆) 中沢サルなため、おだてられると調子に乗ります(笑)そのため、桜月さ まのお褒め(?)の言葉に調子に乗り、やっちまったわけです(笑) と言うわけで、誠に僭越ながら、この話は桜月さまに捧げさせていただき とうございます。お気に召されましたならば、お納めくださいませv返品 可です(^^;) しかし、なんと申しましょうか、クセになりますね(笑) 今回だけでなく、第3弾とかも登場しそうで怖い今日この頃です(苦笑)