1 「だ…だまされた…(泣)」 嬉々として広げた箱から転がり出てきたモノに、俺はただただ呆然とした。 だって、箱から出てきたのは買ったはずのPCではなく、整った顔立ちをし た少年だったから。 しかも全裸の! ………これっていわゆるダッ○ワイフ(男でもそう言うのかは謎だけど) …だよね?; 俺が欲しかったのはPCなのに……! うわ〜ん!!(><) そう、俺の欲しかったのは普通のPC。 ずっと欲しくて、でも高くて、とてもじゃないけど手が出なかったんだ。 でも、金曜に売り出された、先着5名様の超特価PC。 フルセットで9万8千円! これなら俺でもなんとか買える! と、学校サボってまで行ったのに、結果は見事に売り切れ。 他の機種とか勧められたけど、所持金11万の俺には到底買える代物じゃなく て。 諦め店を出た俺に、怪しげな男が声をかけてきた。 俺の欲しかったその型と同じ9821を、特価と同じ金額で売ってくれるという。 しかも新品! その男の話によると、電気屋が倒産して放出したバッタ品とのこと。 どうしても欲しかった俺は、疑いもせずお金を払って、重い思いをして家へ 持って帰ってきたのだ。 なのに……なのに……。 箱の中身はこれ! どこがPCなんだ!? 「…3年間のバイト代が水の泡……;;」 呆然と呟いた俺の隣で、それは突然むくりと起き上がった。 「ぎ!!」 「買ってくれてありがとよ。俺はNBCパーソナルコンピューターPC−2198 型だ。」 驚きに声もない俺を他所に、それはにっこり笑ってしゃべりだした。 「さて、まずは持ち主の設定を実行しなきゃな。ちょっと待ってろよ。」 そう言ったかと思うと、突然、少年の体からモーター音らしきものが聞こえ だした。 「な……なんだこれ!?動いて…しゃべって……え、ええ!?」 「認識終了。オメーを俺の御主人様(オーナー)と認めてやるよ。いいな?」 パニックっている俺を無視して、認識は終了したらしい。 なんだかえらそうな言い方だったけれど、でも、なぜか否定する気がしなく て、俺はただこくりと頷いた。 「システムを初期化してくれ。」 それに満足げに笑った少年は、俺に注文をつけてきた。 「……へ?初期化?何それ?」 「俺は各種入力システムを装備してんだが、初期化システムはNBC制作の音 声対話型になってんだよ。今俺は命令待ちの状態なんだ。」 少年の言ってることは説明……なんだと思うんだけど、意味が分からない。 それで俺にどうしろって? 「……テメーのレベルは1だな……。仕方ねぇ。メニュープログラムを変更す るか。」 さっぱり分からず?マークを頭上に飛ばしてる俺に業を煮やしたのか、少年 は溜め息混じりにそう言ってすっくと立ち上がった。 少年の、きれいな顔が間近になる。 あ、目が、青紫……。 きれいな色だなぁ、と思ったのも束の間だった。 「レベル1、プログラム実行。」 「実行……って、レベル1って、なんか良く分かんないけど、バカにされてる 気が……。」 「システムを初期化するため、オメーのデーターを強制入力させてもらうぜ。」 そう言うが早いか、少年は俺に馬乗りになって、俺のズボンのベルトを引き 抜いた。 「初期化実行!」 「うわぁ!?何!やめっっ!!うあ……っっ!」 ぽぽいとズボンと下着を剥ぎ取った少年は、こともあろうに俺の息子を口に 咥えてしまった。 「システムの初期化開始。引き続きデーターの入力。」 行為とは裏腹な冷静な声音。 何で俺がこんな目に!? と憤慨しても、チロチロと舌で刺激され、哀しいかな、俺の意思とは関係な く息子はどんどん容量を増していく。 「データー入力開始。5 4 3 2……。」 その秒読みに促されたかのように、俺は少年の口の中に欲望を吐き出した。 「………あああああ……。」 よりにもよって男にイかされるなんて!最大の恥だ!! 膝を抱えて泣くしかない俺を他所に、少年はデーターの解析がどうとか、書 き込みを実行するとかぶつぶつと呟いている。 そうこうするうちに、ぴたりと動かなくなってしまった。 「あ……れ?動かなくなった。……壊れたのかな……?」 恐る恐る近づいてみる。 目を開いたまま硬直してるのは怖かったけど、でも、見れば見るほど少年は きれいな顔立ちをしていた。 とくに目が印象的で、青と言うか紫と言うか、そのどちらも混じったような、 今まで見たこともないきれいな色。 それに肌も白い。 胸の突起は少し朱がかったピンクで、なんだかドキドキした。 もちろん、少年なわけだから俺と同じものがついてるんだけど、でも、なん でかな?心臓のドキドキが止まらない。 「……人形……?にしちゃ、よく出来てる……よな?」 そうっと触れてみたら、意外にも温かかった。 それに柔らかい。 「システムを立ち上げ……ん?」 「うわあ!!」 驚いて後ずさった俺にお構いなしな少年は、突然俺に関することをしゃべり だした。 「オメーのデーターだ。本名 天野 銀次。血液型 O型。身長 176cm。体重 62kg。」 「な!?なんでそんなこと知ってんだよ!?俺、まだ何も言ってないよ!」 「さっき、オメーの細胞組織をもらったからな。」 「さ……細胞組織って……。」 「良質だったぜ。」 そうさらりと言って、さらに俺のデーターなるものをしゃべりだした。 「やめろよ!なんの権利があって人のプライバシーを!」 彼はさっきの行為で俺の情報を得たみたいだけど、それをぺらぺらと話され るのはひどく不快な感じがした。 なんつうか、何もかも見透かされた感じ? それ以上に不公平だと思うんだ。 だって、俺は彼のこと何も知らないのに……。 「……分かった。データー発表の実行を停止する。他のパラメーターを見るか?」 「いらない!!」 自分でも良く分からない苛立ちから、彼の言葉を強く否定してしまう。 俺の言葉に、彼は少しだけ肩を竦めて見せた。 →2